ペアリングの不思議

季節の和菓子、南瓜鹿の子と
季節の洋菓子。梅のチーズケーキと梅干しと豆乳のアイス。

南瓜鹿の子はボリュームがあるので南薩摩の夏摘み。
チーズケーキは梅の酸味が効いているので月ヶ瀬の春摘みが良く合いますね。

と、こうしてみると不思議な事が起こる。洋菓子に合うはずの渋くて濃い望蘭タイプの南薩摩夏摘みが和菓子に。すっきりしていて和菓子向きなはずの月ヶ瀬紅茶が洋菓子に組み合わされる。

結局のところ、ペアリングというものは和か洋か、紅茶かコーヒーかというような単純なグループごとで決まるのではなく、その素材がどんな味の要素を持っているのか、何を引き立てて何をリセットしたいのかで決めていくもの。

舌で感じる5味(酸味、甘み、うまみ、苦み、塩み)と味覚では無いけど舌で感じるもの(渋み、辛み)舌で感じないけど脳が認識しているもの(脂、ミネラル、コク)味覚でないけど味覚に影響を及ぼすもの(香り、食感、色、情報、温度、経験)などの複雑な要素が絡み合っておいしさは出来上がる。ペアリングも単純に分けない方が良い。

とは分かっているものの、「嬉野紅茶は和菓子に合う」というような便利なフレーズはついつい多用してしまう。

サービス業とは入念さとさりげなさが必要なのだな、と改めて感じてしまう夏のセットメニューでした。