苦味+苦味=コク について。

前回の投稿の内容について、もっと詳しく教えて、というお問い合わせをいくつか頂きましたので、こちらで少し補足。

苦味+苦味=コク
について。

もしここに、カカオの味わいをしっかり効かせたガトーショコラがあるとします。これに何をあわせるか?
紅茶ファンの人たちはご存知の通り、これにアッサムティーなどを合わせると、ガトーショコラの苦味をより感じてしまい、甘さはどっかにいって穏やかではない。

ミルクティーだと美味しいですね。

では、紅茶ではなくてコーヒーを合わせたら?その場合お互いの苦味は引き立たず、美味しい。香りの相性も良い分、余韻も長く楽しめてそれはもう幸せな感じです。

同じ豆の苦味+苦味なのに、苦味が増して大変にはならないという良い例です。

もう時期は過ぎましたが、ゴーヤと焼いた魚の内臓のところを一緒に食べると、苦味が消える、もしくは少なめに感じます。
ゴーヤと紅茶を合わせると・・まあ、一度お試しください。苦行のような味になります。

これは紅茶の主な味わいは渋み、という事と、
苦味と渋みの根本的な性質の違いで、

苦味は味覚
渋みは触覚

ということが重要になります。

苦味と苦味があわさると、似たもの同士でも口の中にたくさんの複雑な情報が入ってくる。
それがうまく溶け合いさせすれば、

沢山のものがある→栄養豊富なはず→身体にいいはず→嬉しい

と脳が判断する為のようです。
詳しくは「コクと旨みの秘密」という本にそのプロセスが書いてあります。

反対に渋みは触覚ですので、また味の重なり方が変わってきます。

お茶の中の苦味は、カフェインが主流でしょうが、それ以外にもサポニンとかミネラルも関係するでしょう。どれくらい和紅茶の味に影響しているか、科学的なことはわかりませんが。
あとは火入れで焦げたり、お水に含まれるミネラルとの反応だったり、色んな要素が考えられます。品種によっても苦味を感じやすいものとかありますので、まあ、きっと何か要素があるのでしょう。

苦味の質、渋みの質、それを感じ取ってうまく重ねてあげると、単なるトゲトゲしい紅茶が、じんわり滋味深い紅茶になることもある、という訳です。

渋みに関してはまたそのうち。