原発事故に伴う国産紅茶の安全性につきまして

地震から随分時間が経ちましたが、未だ全国に深い傷跡を残しております。
茶業界もまたしかり、いくつかの産地は放射能の心配もあるせいか、大きいキャンセルも相次いでいるようでして、風評被害に頭を悩ませています。

逆に、それを恐れて出来るだけ目立たないように、何もしない、検査や出荷すらせずに、ただほとぼりが冷めるのを待とうとしている人たちが多いのも事実。
少し残念ではあります。

放射能に関しては、多くの情報がネットやマスコミでも氾濫しており、私も色々拝見しましたが、残念ながら正直素人の我々に明確な答えを出すことは出来ません。

「多少出たところで大騒ぎするような事はないよ」という意見も多々頂きますが、普段から出来れば無農薬を、と重箱の隅をつつくような真似をしている私が、簡単にそんなことを言うわけにもいきません(本来は、農薬の危険性を気にしているのではなく、農薬に守られたお茶の味が好きでないだけですが)。

ちょっとでも影響があればすべて排除すべきか?
国が定めた規制値を下回れば、例えば499ミリシーベルトでも良しとするか?

正直かなり迷いました。農家さんたちへの個人的な思い入れも正直、すごくあります。
その中で当店としての安全基準というのを明確にしなければならないのですが、その前に、すでにご存じの方も多いかと思いますが、簡単にお茶の放射能暫定基準値いついてのお話を少し。

国が定めた、お茶の放射性物質の暫定基準値は1kgあたり500ミリシーベルト。これはお米と同じ基準で、とにかく農作物の中でお米やお茶など、というくくりでまとめられたため、お茶もお米も同じ基準になりましたお茶業界の人たちからは、お茶は一回に2~3gしか使わない。しかも直接口に入れるのでは無く、抽出液を飲むだけで、すべてを摂取するわけではないのに、一回にお茶の何十倍も直接食べるお米と同じ基準なのはおかしい!というのが素直な感情らしい。
この基準値がどういう根拠で出て、どれくらい真摯に出された数値かは私にはわかりませんので、この数値に対して私は特別な意見を持ってはいません。

ただ、私の判断で「安全」と思うお茶を皆様にお届けしなければなりません。
もちろん、被害に受けていないものが良いに決まっていますが、わずかでも放射性物質の影響を受けたお茶を排除する、では日本のお茶業界が崩壊してしまうし、実生活において影響のほとんど無いに等しいお茶を無駄に廃棄するような事も心が痛い。

かといって国の基準が正しいかどうかを判断する材料を私は持ち合わせていない、ので何とかくれはの基準を決めなければいけないとは思います。

そこで、とりあえず国の暫定基準値である1kgあたり500ミリシーベルト、という数字の半分、1kgあたり250ミリシーベルトを下回ったものに関しては多少の数値のブレや国の考え方に変化があっても問題ないだろう、と判断して、安全なものとして皆様にご紹介しようと思っています。

お茶の放射性物質に関する安全性の事、お茶をお湯に注いで、どの程度がお湯に溶けて体内に入るのか?などの詳しい情報は、下記に記されています。ご参考までに。

http://www.maff.go.jp/j/press/seisan/ryutu/110805_1.html

これによると、お茶(緑茶)を濃いめに入れて飲んだ場合、実際に飲むお茶に含まれる放射性物質は、約50分の1程度になるだろうとの事です。
詳しくは上記記載の農水省HPをよく読まれる事をおすすめします。

最後に。
静岡にある無農薬栽培の国産紅茶の生産者、「水車村紅茶」の臼井さんは、非常に正直に、真摯にご自分のお茶の検査結果をお客様に報告され、国の基準等も解説され、そのうえで「それが安全かどうかはお客様皆様で判断されてください」とおっしゃっています。
非常に明快で真っ向な姿勢に敬意を表します。

一刻も早い事態の収拾が済み、全国の第一次産業の皆様が胸をはって自身の仕事に誇りを持てる日が来るよう、祈らずにはいられません。