リーズナブルに買えるダージリンに近い和紅茶、というイメージです。高級ダージリンに近いのは他にもありますが、百貨店などにある紅茶コーナーで、1,000円代で売っているダージリンを飲まれている方には入りやすいのではないでしょうか?
緑茶品種で発酵は浅いのですが、火入れの影響もあり、花や柑橘というよりも、もう少し落ち着いた印象があります。もちろんその中には、オレンジの要素や、ナッツ、樹皮の要素もあります。
トップの香りはフレッシュな草いきれの香りと火入れによる香ばしい香り。余韻にオレンジに近いものを感じるでしょう。ダージリンと同じく、中国系品種とは思えない、キリっとした渋みがあります。
生産者である横田さんの畑の環境も影響しているのでしょう。実際に、横田さんが持つ畑の中でも、土地によってはふわっとした味わいになります。自然栽培で肥料の影響が皆無なので、土壌による影響がそのまま出てきます。私としては土壌の影響を知ることができる貴重な資料にもなります。
渋みがある分、単純に柑橘に合わせると苦くなってしまいますが、香りとしては合う要素をたくさん持っていますので、砂糖漬けになった柑橘や、クリームと合わせたものなど、柑橘の香りを活かした甘いお菓子には合うでしょう。伊万里紅茶自体はクリームそのものとの相性が良いわけではないので、クリームのキレ、という意味ではあまり頼りにしない方がいいでしょう。
料理との相性も、うま味とそれほど合わせやすいタイプの渋みではないので、料理との組み合わせは難しい場合が多いです。ゴールデンルールではなく、少しだけ温度を下げるなどすれば料理にも使えるようになります。使い方としては、お菓子との方が合わせやすいようです。
また、トップの香りに焙煎の香りも感じるので、チョコや豆類、同じく焼いたものと相性がよいと思いそうですが、発酵が浅く、時間短めの焙煎ですので、イメージとしては若い茶葉の表面だけが火が入っている、というイメージです。寿司の炙りのような。
そのため、しっかり発酵や焙煎が進んだものではなく、素焼きナッツのように、香ばしいけど中身は白いまま、というような素材と合わせた方がよいです。