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和紅茶(国産紅茶)のおはなし

和紅茶とは

和紅茶(国産紅茶)とは、「日本で育った茶の樹を使い、日本で紅茶に加工されたお茶」の事です。
最近では「和紅茶」「地紅茶」「日本紅茶」等、色々な呼び方があります。
海外と同じように育てられた茶樹から作られても、日本の気候風土の影響を受け育つため、日本独自の味わいになります。
一般的には「渋みが少ない」「香りが甘く、大人しい」「製造後、数年おいてからが美味しくなる」などの特徴を持っていますが、もちろん、生産地や生産者によって味わいは大きく変わってくるため、一概には言えません。
海外紅茶以上に渋みを持つ物もありますし、花のような香りのもの、フルーツの香りのもの、優しい香りのもの、ミルクに合うもの、本当に和紅茶は生産者の個性によって様々です。

しかし、日本の土壌で育ち、同じ日本人が美味しいと思うものを目指して作られた紅茶は、やはりどこかしら共通のものがあり、日本人好みの味になるのは間違いありません。

もちろん、原料の茶葉を海外から仕入れて加工だけを日本で行ったりすることは紅茶の場合は出来ませんので、「国産紅茶」とは日本で最初から作られた紅茶、と考えてほぼ間違いは無いでしょう。

こちらも併せてお読み下さい

和紅茶と海外紅茶の違い
国産紅茶の安全性と海外紅茶の安全性
国産紅茶、和紅茶、地紅茶という呼び名について

和紅茶の分類と美味しい淹れ方

和紅茶の美味しい入れ方は?と聞かれると、それは茶によって違う、という答えになってしまいます。
それぞれの生産者さんの「理想とする紅茶」が違いますので、当然紅茶も全く違うものが出来、当然淹れ方も変わってきます。
日本の紅茶を大きく分けると、
緑茶品種を醗酵させ、うま味を引き出すような仕上がりの「滋納(じな)」、
すっきりした香りを楽しむ「清廉(せいれん)」、
海外紅茶に近い味わいを持つ「望欄(ぼうらん)」
の3つに分けられます。

滋納・・・・嬉野紅茶など
茶葉の量・・・・・300ccに5gほど。
お湯の状態・・・沸騰したてのお湯。もしくは少し沸騰して数分置いた、落ち着いたお湯を使用。
お湯の温度・・・温度は沸騰したて、場合によっては少しだけ下げても良い。
抽出時間・・・・・最低でも3分出来れば5分以上。場合によっては15分以上座らせるのが望ましい。
飲むときの温度・・・55~60℃程度の「あったかい」くらいの温度。しっかりとうま味を味わう事ができます。あまり茶杯を温めずに紅茶をゆっくり注ぐといいでしょう。

清廉・・・・きつき紅茶、さやかなど
茶葉の量・・・・・300ccに6gほど。茶葉によっては多めでも良い。
お湯の状態・・・沸騰したてのお湯。もしくは沸騰直前の新鮮な熱湯が必要。
お湯の温度・・・沸騰している状態の、より高い温度
抽出時間・・・・・2分半から3分。手早く入れたほうが良い。茶葉によっては1分以内で淹れ、その後2~3煎抽出する淹れ方もいい。茶葉が大きめの時はお試し下さい。
飲むときの温度・・・温度が高めな方が香りがよく立ちます。冷めていく課程で、徐々に香りが変化するのも
楽しいです。

望欄・・・・南薩摩セカンドフラッシュなど。
茶葉の量・・・・・300ccに5gほど。ミルクティーにする際は茶葉をやや多めで。
お湯の状態・・・沸騰したてのお湯。もしくは沸騰直前の新鮮な熱湯がよい。渋みが苦手な場合は少し落ち着かせる。
お湯の温度・・・沸騰している状態の、より高い温度
抽出時間・・・・・2分半から3分。ミルクティーにする場合は4~5分ほど置いても良い。
飲むときの温度・・ 65℃くらいが美味しい。イギリス式のミルクティーにする場合は熱い紅茶に、冷たいミルクを足す事で飲み頃の温度になります。

有機栽培と無農薬国産紅茶という表記について

最近、色々な場面で無農薬国産紅茶、有機栽培紅茶といった表記を見かけますが、当店の商品にはそういった表記はありません。
無農薬という表記は厳密に言えば、法律より規制されておりますので実際に農薬を使っていなくても無農薬という表現はできません。ですので、化学農薬を使用せず、という表現をしております。

そのため当店の紅茶にはそういった表示はありませんが、ほとんどの生産者さんが、化学農薬を一切使わず栽培されている方達です。

また、有機栽培と商品名に記載する場合は認証団体によりその商品が認証を受けた場合のみ表記できます。しかし、これも費用がかかるのと、毎年の資料作りが膨大な手間で、認証継続を断念された生産者さんも沢山いらっしゃいます。実際には有機農法でもその場合はそのような表現が出来なくなっています。
当店の商品説明で「有機栽培で育てられた」というような表現は、生産者さんがJAS認定の有機認証を取られている場合に限っております。

商品の紹介のページに、各茶葉の栽培法、化学農薬の有無については記載しておりますのでご参照下さい。

化学農薬が危険と思う人もいれば、有機栽培の作物も危険と考える人もいます。
私なりに思う、農薬、有機栽培などへの考えはこちらにまとめております。併せてご参照下さい。

農薬、有機肥料等への危険性について

和紅茶と海外紅茶の違い

和紅茶って普通のダージリンとかと何が違うんですか?という質問を受けます。また、新聞や雑誌などにはだいたい「国産の紅茶は海外の紅茶と違い、まろやかで渋みがなく、ほのかな甘みを感じるのが特徴です」と書いてある場合がほとんです。
しかし、この説明は正しくありません。渋みや甘み云々は産地というよりも製法や品種の問題であり、和紅茶にも渋みを持ったものはたくさんありますし、インドやスリランカ、その他産地でもまろやかで甘みを持った紅茶はたくさん作られています。そういった紅茶があまり日本に入ってこないだけです。

私が思う和紅茶の特徴は、海外の紅茶と違い、生産者と我々消費者の距離感の違いです。
どういう事かといいますと、海外のアッサムやダージリンといった産地では多くの従業員を抱え、カンパニーとして経営されています。数百人、婆によっては数千人の働き手がいますので、ちゃんと戦略を立てて、どこにいくらでどれくらい売るか?を考えて経営しないとたちまち経営は行き詰まり、働き手さん達は食べる道を失います。そのため、市場を読みながら目指した品質を作り上げていきます。

逆に和紅茶の場合はほとんどが家族経営で行われており、その生産者一家の価値観、美意識、都合によって作られていきます。よってそこの親父さんが渋い紅茶を作りたい!と思えばそうなっていきますし、隣の人と全く違う物を作りたい、と思うかもしれません。緑茶と違い製法が確立している物でもありませんので、同じ地域の隣同士の家で色も形も香りも全く違うものが作られている、ということも珍しいことではありません。

つまり、生産者の生き方、好み、個性がそのまま表れるのが和紅茶の面白いところでもあり、外れを引く可能性が高い残念な理由でもあります。紅茶への情熱のなさがそのまま品質に出るというわけです。

その個性豊かさが和紅茶の特徴ですが、もちろん世界の中には同じような状況の国もあります。その茶園、農園別に小ロットでお茶が生産され、その個性を楽しめるような国は存在します。

しかし、その個性を我々が楽しむには大きな壁があります。言語と距離です。台湾のように比較的近い国でも産地の茶師を訪ね、それぞれの品質や考えの違いを味わう機会は専門家でも無い限り不可能でしょう。
しかし、日本であれば東京でしたら新幹線で1~2時間も行けば静岡がありますし、他の産地へも数時間で可能です。お茶屋さんそれぞれと話をして、お茶への思いや夢、こだわり、裏話をどれだけでも誰でも聞くことが出来ます。畑や作っているところも見ることも出来ます。そうして飲むお茶は、単に誰のお茶か分からないまま飲んでいた時とは全く違う物に感じるでしょう。なぜこの味なのか?何を楽しんでほしいのか?生産者さんの人生がそのまま投影されたお茶を飲んだとき、品質を飛び越えてそのお茶と人のファンになってしまうでしょう。

私が和紅茶の専門店を開きたい!と思った時のように。

作り手の顔が見え、畑が見え、生産者と同じ光景を見ながら楽しむ事が出来る。それが我々にとっての和紅茶の最大の魅力では無いでしょうか?

と、いうようなことを言っても、新聞や雑誌ではバッサリとカットされて「日本人に合う優しい味」でまとめられちゃいます。しょうがないですけどね~。さみしいなぁ。

国産紅茶の現状

明治から昭和にかけて、一時は数千トン単位で海外に輸出されてきた日本産紅茶。
海外との輸出競争に敗れ、一時期は統計上ゼロになった時代もありましたが、一部の熱心な生産者達が技術を受け継ぎ、細々ながらも生産をされてきました。
2000年頃から、再び国産の紅茶が注目されるようになり、2016年現在、全国で日本の紅茶は生産されるようになり、600ほどの生産者がいると言われています。

現在の産地の状況などは、地紅茶サミット世話人会の皆様が調査されています、「全国地紅茶マップ」というもので確認できます。
和紅茶という言葉の生みの親でもあります、赤須治郎さんのHPで見る事が出来ます。
http://www.wakocha.jp/

これによりますと、2015年11月の時点で、45都府県、566ケ所で紅茶が作られています。もちろん、その中にはごく少量のものもあれば、静岡や鹿児島にいらっしゃるような、大量に生産されている生産者さんも全て含んであります。
2014年までは、マップに販売しているお店や喫茶が出来る場所もカウントされていましたが、ここ数年の動きで和紅茶を販売、喫茶をされるお店が飛躍的に増加したため、2015年より産地のみの表記になりました。
それほどに和紅茶という存在が皆様にとって身近なものになりつつある、という事でしょうか。

農水省の統計では、2014年の全国の紅茶生産量は122t。とあります。
統計を取る機関によって変動はありますが、2000年代後半から急速に伸びているようすが分かります。
近年は大手の商品ラインナップにも和紅茶が登場し、珍しさが売りだった商品から脱皮し、品質やコストパフォーマンス、生産者の個性などが重視される商品へと変化しつつあるのを感じます。

毎年開かれている「全国地紅茶サミット」では、2012年の岡山サミットから、2015年の下田サミットまで、毎年数千人の来場者があり、ここ数年の紅茶への熱の高まりを感じます。
2016年は12月上旬に奈良県での開催です。皆様ぜひ和紅茶の新しい空気を感じ取ってみられてはいかがでしょうか?

フレーバーティーについて

フレーバーティーとは、紅茶に「リンゴ」や「キャラメル」などの香料を使用して、香りを後から付け足したもので、日本語で「着香茶」と呼ばれています。
有名なものではベルガモットオレンジの香りをつけた「アールグレイ」が良く出回っています。

本来の紅茶の香りからは外れたものですし、香料をきつく付けたものも多いので、「あんなものは邪道だ!」という方も多いです。

その気持ちは良く分かりますが、当店の考え方は「フレーバーティーです」と表記してフレーバーティーを販売するのは、好みの問題ですので、邪道とまでは思いません。
ただ、「これは自然の香りです」と表記していたり、特になんの表記もないままフレーバーティーを販売するのは邪道だと思います。現にそういった商品が日本においてさえもあると言われています。

私も元々はアールグレイから紅茶に興味をもった人間です。
当店のお客様でも、学生時代はフレーバーティーを飲んで、「わあ、リンゴの香りだぁ」と喜んでいた女子高生が、数年後には「もう香料はいらなくなりました。普通の紅茶が一番美味しいと思います」といって非常に良い紅茶を飲みに来られる様になることも多々あります。

人間は続ければ、かならず本当に良いものにたどり着くと私は思っています。ですので、幅広く間口を広げるために当店ではフレーバーティーにも力をいれています。そうして興味をもってくれた人達は、いずれ必ず紅茶の世界を広げてくれる人たちになると思っています。

かたく考えず、色んな人に紅茶を楽しんで頂きたいと思っています。

国産紅茶の安全性と海外紅茶の安全性

当店で取り扱う国産紅茶は、主に化学農薬を使用しない、安全に配慮した紅茶をセレクトしています。ただ、全てが無農薬有機栽培ではありません。
農家さんによっては僅かながら化学肥料などを使用される方もいらっしゃいます。それぞれの農家さんに「農」というものへの信念があり、自然と真剣に向き合っている方とお付き合いをするようにしています。
近年は食への安全意識への高まりから、国産のものを好まれる方も多く、「紅茶もより安全な国産の紅茶を」という事でお買上げ頂くことも多々あります。

ただ、海外の紅茶が危険という訳ではありません。紅茶が主要な産業である国々では、非常の厳しい審査が行われ、その意識は決して日本に劣るものではありません。

もちろん、日本の紅茶がすべて安全だという保障もありません。当店は「国産紅茶が安心だから」という事で販売しているのではなく、「安全な国産紅茶」を選んで販売しております。

ですので、海外だから危険、国産だから安心、という図式は、少なくとも紅茶では当てはまりません。私が直接確認可能なのが国産紅茶、という事なのです。

「国産紅茶」、「和紅茶」、「地紅茶」という呼び名について

当店も含め、日本で作られた紅茶の事を和紅茶。という呼び方が一般的になってきました。
これを最初に広められたのは、石川県の赤須治郎さんという方ですが、国産紅茶、地紅茶などという呼び方もあり、その時々で呼び名を変える場合もあります。

時折、「どれも違うものなんですか?」と尋ねられることがありますので、違いをお知らせしておきます。

まず、基本的に物としては同じです。国産紅茶も、和紅茶も、地紅茶も、おなじ「日本で育てられた茶の葉を摘み取り、日本で加工された紅茶」であるという事が前提になります。
現実的には無い事ですが、「海外で摘み取った葉を日本で加工したもの」とか、「日本の葉だけど、加工は海外でしたもの」などを和紅茶として販売することは、私の知る限りはありません。
やったとしても膨大な手間とお金がかかるだけで、何のメリットもないでしょう。

そういうわけで、国産紅茶=原料から製造まで日本で行われたもの、という事は間違いありません。そういう意味で「国産の紅茶」で国産紅茶。これは分かり易いですよね。

では、和紅茶、地紅茶は?
これは、「和食」、「郷土料理」という風に置き換える事ができます。
「国産」という場合、それは単に原料がどこで作られたか?というトレーサービリティの面でのお話しになります。
「国産品」という意味です。

それが、「和食」となると、またイメージが違いますよね?

和食という響きの中には、器であるとか、食べ方であるとか、思想であるとか、
そういうすべての物が含まれてくるはずです。

「和紅茶」と呼ぶとき、それは作る人の思想や、楽しむ人の感じ方、その存在意義まで含めての「日本の紅茶」という事です。
日本のお菓子に合わせて欲しい、皆さんの使っている急須で淹れて欲しい、とイメージするとき、私は和紅茶という言葉を使います。

最後に地紅茶。これは「郷土料理」に相当すると思います。
日本の各地には、それぞれの歴史風土に応じた料理が存在します。そして、それは必ずしも、全てが理にかなっているというわけではなく、美味しいものばかり、という訳でもありません。
単に、それしか選択肢がなかったから残っていたもの、というものもあります。

しかし、そこには地元に人だけの事情や息遣いや、思い出が入っているものです。

地紅茶は日本のそれぞれの地域で作られた、ローカルな紅茶です。
その地方の野菜や果実とブレンドしたものや、欠点を補うために紅茶の通常の作り方からは外れた手法で作られる場合もあります。
しかし、それがその地元で受け入れられ、喜ばれ、受け継がれているものであれば、
それは誰に文句を言われる筋合もない、立派な「地紅茶」と呼べると思います。

単に奇を衒って緑茶より高くうれそうだから、という理由で粗製乱造された紅茶と、
常道からは外れているけど、その地で愛されている地紅茶。

その違いは何か?

明確な基準はもちろん存在しません。が、数年後にそれが続けれ、求められているかを見れば答えは簡単にでるでしょう。

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